おまえの好みの服装

母はおまえの取りわけ懐かしいときおまえの好みの服装お前の好みの髪の梳《くしけず》りかたをする

母はときどき掌《たなごころ》を見るおまえを育てた時おまえのおしり[#「おしり」に傍点]をときどき叩いて叱ったおもい出

叩いたのも撫でてやったのも愛情だった、みんな、みんな、愛情だった

そうしてお前は好い児に育った今は巴里の尖端画壇《せんたんがだん》の中堅作家

お茶喫むかわが児よ巴里に絵を描くか、友と語るか日本の母を忘れて

忘るるもよしやわが児よ育ち行くおまえの命、才分《さいぶん》の弾ぜ溢るるに何《いつ》しかも母の事など

忘るとも、よしやわが児よおまえが母は「母観世音《ははかんぜおん》」おまえが母を忘れていても

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